更年期障害に悩まされているという方は実にたくさんおられます。
人生のある時期になると更年期障害に悩まされていても仕方がないという雰囲気にすらなっていますから、かなりお悩みが深刻だったとしても「仕方ない」で片付けられてしまっているのが実情です。
そもそも、この更年期障害とは一体何でしょう?
まずは今さら聞けない更年期障害の定義についてお話しましょう。
更年期障害が発症する"更年期"の医学的な定義とは「卵巣の機能が衰え始め、最終的にその機能が停止する時期」とされています。卵巣とは女性にしかない器官で、女性にしか出来ない妊娠・出産のために欠かせない部分です。その部分が機能を停止する、ということは妊娠可能な状態ではなくなりつつある時期ということです。つまり、更年期障害というのは女性に起きるものであると定義されています。
女性が女性機能を失う時期ということは、「女性でなくなる」ということであり、心理的には非常に暗いイメージを持ってしまいがちです。高齢出産が珍しくなくなったとは言え、ある年齢以降に妊娠・出産をしようと考える女性は少ないので「女性機能なんてもう無用」と豪語している女性ですら、実際に更年期を経て閉経を迎えると何となく女性でなくなったような気分になり、憂鬱になってしまいます。
また、卵巣は女性特有の臓器であることもあって、女性ホルモンの分泌にも深い関連があります。そんな卵巣が機能を停止してしまうということは、女性ホルモンの分泌が規則的に行われなくなってきます。女性ホルモンとはエストロゲンという物質で、生理的に女性を支えてきた大切な物質です。具体的には女性機能を維持する働きや、骨にカルシウムを貯める働き、悪玉コレステロールを減らして善玉コレステロールを増やす働き、脳の代謝に関係する働き...実に色々な働きで女性を支えてきていることが分かります。
こんな働きをするエストロゲンが規則正しく分泌されなくなると、女性の身体に多くの変化が表れるのは当然のことです。ここで表れる変化というのは自律神経失調症という病気に似ていることも指摘されています。自律神経とは体の機能を保つために無意識に行っている機能のことです。これが変調をきたすことによって起きる不具合を自律神経失調症と呼びます。
この自律神経失調症と更年期障害は原因面や症状面で似ている部分が多いことから、更年期障害は女性ホルモンが減ってしまうために起こる自律神経失調症と定義されています。