2007年12月アーカイブ

更年期障害の症状


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更年期障害が発症すると、どんな症状が見られるのでしょうか。これは人によってもまちまちで多岐にわたるため、一概には言えません。そこで更年期障害ではないかと病院に来診する人の具体的なお悩みを列挙してみたいと思います。
「暑くもないのに、やたら汗が出る」「そのためにのぼせたり、ほてったりする」
「手足が冷える」
「夜よく眠れない」「そのために疲労感が常にある」
診察を受けても問題がないのに「腰痛がある」「膀胱炎の症状がある」「外陰部にかゆみや不快感がある」「動悸がひどい」「不正出血がある」
他にもたくさんの症状があります。たくさんの症状があるからと言って、それら全てが一斉に発症するわけではありません。どれが発症するか、またどの程度発症するかは完全に人それぞれです。ひとつ共通して言えることは、上にも述べていますが、あらゆる不快感や自覚症状があるにも関わらず、医学的には特に異常が見られないという点です。これらの症状は医学用語で「不定愁訴」と呼ばれ、女性ホルモンであるエストロゲンが減っていることによって起こる症状、つまり更年期症状です。
更年期障害の原因となっている女性ホルモンの減少。女性ホルモンは骨にカルシウムを貯め込む働きがあるとお話ししましたが、それでは女性ホルモンが減少するとこの働きも衰えてしまうのでは...?
その通りです。更年期障害は女性ホルモンの減少によって骨の中のカルシウムが減少してしまうという現象も引き起こします。骨密度が低下するというのは、いわゆる骨粗しょう症の原因になります。骨粗しょう症はちょうど更年期以降の年齢になってくると実に多くなってくる症状で、ちょっとしたことで骨折してしまう原因になるため注意が必要です。骨折なんて簡単に治る...ということに間違いはないのですが、高齢になって骨折するとそれをキッカケに寝たきりになってしまったりするので、やはり軽視は出来ません。
また、女性ホルモンには悪玉コレステロールを減らして善玉コレステロールを増やす働きがあるので、その女性ホルモンが減ることによって血中の悪玉コレステロールが増えてしまいます。その結果高脂血症などの原因となり、高脂血症を発端としたさまざまな問題を引き起こしてしまいます。
卵巣の機能停止に伴って女性らしさを失ってしまうという危惧よりも、実はこちらの骨粗しょう症や高脂血症のほうが命に関わることがあるので、本当は要警戒なのです。

更年期を機に


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「更年期障害は人類の文明が進化した証拠」と言われることがあります。これはなぜでしょうか。

地球上で文明を発達させた動物は人間だけですが、人間以外の動物には更年期障害はありません。あったとしてもそれは偶発的なもので、人間のようにほとんどの人に当たり前のように訪れるものではありません。

人間の平均寿命は人類の歴史とともにぐんぐん延びてきました。それは医学の発達も当然関係あるでしょうし、食生活の良さもあるでしょう。ものの本で読んだことがありますが、人間には地球上で唯一食べ物に火を通して食べる習慣があります。火を通すことによって食べ物の中の雑菌が死滅し、安全なものを口にすることから人間の寿命が延びたと言われています。このように飛躍的に寿命を延ばしてきた人類ですが、女性の閉経時期はさほど変わっていません。つまり女性が閉経を迎える時期が本来の人類の寿命だったのです。

更年期を過ぎた年齢以降というのは、人類が文明の発達によって手に入れた寿命なので、人間の体はその時期を生き抜くことを想定していないということです。そのため更年期を過ぎるとさまざまな変化があらわれるのです。

女性は男性に比べて平均寿命が長く、平均的な日本人女性なら80歳前後までは生きることになります。更年期とは40~55歳あたりを指しますが、この時期は変化せずに平均寿命が延びているということは、閉経後つまり更年期後の人生が延びていることに他なりません。

人間以外の動物は子孫を増やすことが唯一のテーマです。子孫を増やす能力がなくなったら生きている意味がないので寿命を迎えて死んでしまいます。ですが人間は違います。

確かに女性にとって結婚適齢期や妊娠・出産の時期を考えると、更年期までの時期は他の動物と同じように子孫を繁栄させることが大きなテーマであるかも知れません。女性らしさをコントロールするエストロゲンが活発に分泌されているのもそのためかも知れないと考えると辻褄も合います。

そんなテーマも更年期を境に変化し、女性の人生は子孫を残すというテーマから解放されます。このことは大きな意味を持っており、いわゆる第二の人生を楽しむためには絶好のチャンスが到来したことでもあります。更年期障害が発症すると失うものばかりに目がいきがちですが、人間は他の動物と違って更年期を機に得るものもあるという発想の転換が大切です。

実際に更年期の時期を契機に新しいことにチャレンジする人が多いのはとても前向きで良いことだと思います。

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