更年期障害が発症すると、どんな症状が見られるのでしょうか。これは人によってもまちまちで多岐にわたるため、一概には言えません。そこで更年期障害ではないかと病院に来診する人の具体的なお悩みを列挙してみたいと思います。
「暑くもないのに、やたら汗が出る」「そのためにのぼせたり、ほてったりする」
「手足が冷える」
「夜よく眠れない」「そのために疲労感が常にある」
診察を受けても問題がないのに「腰痛がある」「膀胱炎の症状がある」「外陰部にかゆみや不快感がある」「動悸がひどい」「不正出血がある」
他にもたくさんの症状があります。たくさんの症状があるからと言って、それら全てが一斉に発症するわけではありません。どれが発症するか、またどの程度発症するかは完全に人それぞれです。ひとつ共通して言えることは、上にも述べていますが、あらゆる不快感や自覚症状があるにも関わらず、医学的には特に異常が見られないという点です。これらの症状は医学用語で「不定愁訴」と呼ばれ、女性ホルモンであるエストロゲンが減っていることによって起こる症状、つまり更年期症状です。
更年期障害の原因となっている女性ホルモンの減少。女性ホルモンは骨にカルシウムを貯め込む働きがあるとお話ししましたが、それでは女性ホルモンが減少するとこの働きも衰えてしまうのでは...?
その通りです。更年期障害は女性ホルモンの減少によって骨の中のカルシウムが減少してしまうという現象も引き起こします。骨密度が低下するというのは、いわゆる骨粗しょう症の原因になります。骨粗しょう症はちょうど更年期以降の年齢になってくると実に多くなってくる症状で、ちょっとしたことで骨折してしまう原因になるため注意が必要です。骨折なんて簡単に治る...ということに間違いはないのですが、高齢になって骨折するとそれをキッカケに寝たきりになってしまったりするので、やはり軽視は出来ません。
また、女性ホルモンには悪玉コレステロールを減らして善玉コレステロールを増やす働きがあるので、その女性ホルモンが減ることによって血中の悪玉コレステロールが増えてしまいます。その結果高脂血症などの原因となり、高脂血症を発端としたさまざまな問題を引き起こしてしまいます。
卵巣の機能停止に伴って女性らしさを失ってしまうという危惧よりも、実はこちらの骨粗しょう症や高脂血症のほうが命に関わることがあるので、本当は要警戒なのです。